2009 Fiscal Year Annual Research Report
南シナ海を渡った人々:土器の比較研究からみた鉄器時代のベトナムとフィリピンの交流
Project/Area Number |
20520666
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山形 眞理子 Waseda University, 文学学術院, 准教授 (90409582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70209617)
鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 博物館実習施設, 実習助手 (00389595)
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Keywords | 考古学 / 東南アジア / 形態人類学 / 産地同定 |
Research Abstract |
1.研究目的 ベトナムとフィリピン、つまり南シナ海両岸の鉄器時代土器の比較研究を基礎として、南シナ海を往来した古代の人々の実態にせまることが究極的な目的である。そのためには、土器が副葬される墓があり、しかも人骨が原位置で検出されることがわかっているベトナム側で調査を進行させ、分析資料の充実を図る必要がある。 2.研究方法 上記の目的を果たすために発掘調査を実施することでベトナム側と合意し、2007年の発掘調査によってフィリピンと同じ型式の土器を出すことが明らかになった、ベトナム中部カインホア省カムラン市ホアジェム遺跡の再調査を実施することとなった。調査にあたってはベトナム現地が乾季であること、旧正月(今年の場合2月14日)前後の休日期間を勘案し、発掘期間を年度末の2010年3月1日から同20日までとせざるを得なかった。研究代表者・山形は3月6日から現場に入ったが、連携研究者・田中和彦とベトナム人共同研究者が発掘を開始した。研究分担者である形質人類学の松村博文と、土器胎土分析を専門とする鑓ヶ江賢二も参加した。 3.研究成果 2007年発掘区の周囲数地点で、総面積87m^2を発掘した。その結果、2007年発掘区の隣から5基、別地点から4基の甕棺墓を検出した。後者の墓は従来知られていない型式の甕を用いており、年代が新しくなる可能性がある。ただし副葬土器は2007年出土のものと同じく、フィリピンのカラナイ土器と酷似する。墓域の隣には貝が集中し、貝層に土器片と獣骨が混じる区域が広がっており、人々の生活域(居住址)と判断された。墓域は部分的に生活域と重なっており、貝層の上から甕棺が埋置されたことは明らかである。今回の調査でも五銖銭が副葬された墓が検出された。墓葬全体の年代は後2世紀を中心とするであろう。残りがよい男性の骨が出土した甕棺があり、人々の系統を探る人類学的分析が進むことが期待される。
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Research Products
(7 results)