2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520674
|
Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
木沢 直子 Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science, 研究部, 研究員 (50270773)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小村 眞理 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
|
Keywords | 木製櫛 / 製作技法 / 樹種 / 加工具 |
Research Abstract |
横櫛の出現に関する検証を行うために、これまでに「製作技術」と「用材選択」を軸として、横櫛出現期と考えられる古墳時代前期における製作技術の発達過程と用材選択の変化とに有機的な関係を有する可能性を検証してきた。その結果、日本における横櫛の出現には朝鮮半島や中国からの影響が想定され、これらの地域から伝えられた製作技法を模倣しながら、既存の竪櫛製作の技術と工具によって製作が行なわれていたことを予想した。この点を検証するため、本研究では韓国および中国の出土資料について「製作技術」と「用材選択」の視点から比較を行なう。 今年度は韓国における木製横櫛の出土事例について調査を行った。主に光州新昌洞遺跡(BC4世紀〜紀元前後)、扶餘官北里遺跡(6〜7世紀)、二聖山城遺跡(6世紀半〜8世紀)なとがら出土した資料を実見した結果、いずれの資料も広葉樹・散孔材を用いており、多くは板目取りであることが分かった。また、最も時代遡る光州新昌洞遺跡出土資料については櫛の歯を作り出す際に刀子状の加工具を用いたと思われる痕跡を確認したのに対し、二聖山城遺跡の資料には歯の側面に斜めに規則的に連続する加工痕を見ることができた。これは同時期の日本国内の出土事例にも見ることのできるものであり、当該期には歯を挽き出す際に共通する工具が用いられていた可能性が考えられた。また二聖山城遺跡出土事例中には加工途中の未成品も見られ、日本の事例との共通点も確認できた。
|