2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520674
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Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
木澤 直子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小村 眞理 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
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Keywords | 木製櫛 / 製作技術 / 用材選択 / 機能 / 樹種 / 紡織機 |
Research Abstract |
竪櫛と横櫛の系譜的関連性について検証を行うため、出土事例から竪櫛の消滅と横櫛の出現時期にあたる資料の検証を行った。特に「製作技術」と「用材選択」を軸として、横櫛出現期と考えられる古墳時代前期における製作技術の発達と用材選択の変化との関係に着目してきた結果、日本における横櫛の出現には朝鮮半島や中国からの影響が想定され、当初はこれらの地域から伝えられた製作技法を模倣しながら、既存の竪櫛製作の技術と工具によって製作が行なわれていたことが予想された。この点を検証するため、昨年に引き続き韓国の出土資料について調査を行なった。また、楽浪出土とされる東京大学考古学研究室所蔵木製櫛および天理大学附属天理参考館所蔵木製櫛(戦国~漢代)についても同様に調査を行った。マイクロスコープによる観察をもとに資料に残る加工痕や樹種および、木取りについて検討した。また、今年度は民俗資料にも着目し、長野県木祖村において江戸時代以来伝えられている「お六櫛」の製作技法や用材、当時の櫛の流通等についての調査を実施した。さらに韓国ではソウル歴史博物館が所蔵する朝鮮時代の櫛を実見した。当該機関の資料のなかには日本および中国でも使用されていた竹製の櫛が含まれており、その製作に筬の製作技法と同様の技術が用いられている点で注目された。実見した「木製櫛中には紡織具としての機能を想起させる資料も含まれており興味深い結果が得られた。 今年度の調査成果はこれまでの成果と合わせて総括し、研究報告書を作成した。
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