2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域統計データにみる人口減少地域の社会経済変動のトレンドと市町村合併のインパクト
Project/Area Number |
20520684
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堤 研二 Osaka University, 文学研究科, 准教授 (20188593)
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Keywords | 人口減少地域 / 地域統計 / 社会経済変動 / 市町村合併 / 人文地理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人口減少地域を対象として、当該地域における社会経済的な中・長期変動のトレンドを把握した上で、当該地域の抱える問題点や課題を明らかにすることである。具体的には、複数時点での地域統計データを収集してデータベースを構築し、多変量解析による地域類型化とその変化の分析を行い、その背景の分析や、当該地域の問題に関係する対策・政策の再検討をすることを主眼点とする。この趣旨に沿って、研究の初年度である当該年度には以下の5点を主とする作業・活動を行った。(1)過疎地域に関する複数時点でのデータ等をもとにしてデータベースの構築に取り掛かった。入力作業は順調に進んでいる。人口減少地域に関する時系列的分析が為されていない中で、本データベース構築の意義は大きい。(2)人口減少地域の典型例である旧産炭地域に関するデータベースの構築も開始した。石炭政策の最終段階で産炭地域指定を受けていた市町村を対象として、それらの地域に関する社会経済的データを収集して入力作業を行った。(3)スウェーデンへの海外出張を行って林業地帯を視察し、学術発表も行った。その発表では、山間地域の林業振興と都市農村交流を組み合わせた活動を行っている徳島県のNPOについての事例報告を行い、ソーシャル=キャピタル(社会関係資本)の異なる二形態の結合的展開(ボンディングとブリッジング)の状況を明らかにした。(4)韓国への海外出張を行い、学術発表を行った。その発表では、市町村合併の陰で小地域統計を使用しないことによって隠蔽されてしまう地域問題のあることを指摘した。(5)本年度構築した前記データベースの分析成果の一部を含む論文『過疎・人口激減地域における人口流出に関する研究』を執筆し、博士(文学)の学位(論文博士)を九州大学から授与された。本研究に関しては学術図書としての刊行を目指して、研究成果公開促進費の申請も行っている。
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Research Products
(3 results)