2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520690
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山崎 孝史 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 教授 (10230400)
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Keywords | 沖縄 / 領域 / 政治地理学 / 社会運動 / 戦後 / 米軍 / アイデンティティ / 地政学 |
Research Abstract |
本年度は山崎(2005b)で用いた1949年から2000年までの沖縄本島における社会運動イベント(発生)データベースおよび政治声明(言説)データを本研究課題に即して整理・分類し直し、沖縄県下各諸島間での社会運動の連鎖的展開や運動組織の空間的拡大をより詳細に分析した。その成果は2009年7月にチリ国サンチアゴ市で開催された国際政治学会世界大会の政治・文化地理学研究委員会主催セッションにて発表した。 また前年度に引き続き琉球諸島地方新聞復刻版やその他文献資料を収集するとともに、同時に10月および11月に沖縄県に赴き、沖縄県公文書館にて米軍統治機関(琉球米国民政府USCAR)および琉球政府の文書を閲覧し、沖縄県内各諸島に適用された地域政策の内容を把握することにつとめた。加えて10月に琉球大学で開催された日本地理学会において、研究成果の一部を公表した。 本年度の最も中心的な成果は、8月および12月に実施したアメリカ国立公文書館II(メリーランド州カレッジパーク)での文献収集作業である。ここでは、USCAR文書の国内未(非)公開分および米国による対沖縄政策に関連する陸軍・国務省文書を閲覧・複写し、上述の沖縄県内での文書調査を行ったが、なかでも沖縄復帰前の尖閣列島における石油採掘権問題に関する多数の文献を発見し、米国施政権下にあった沖縄と中国共産党政府との緊張を抱えた台湾との間の擬似的領土問題をめぐって、日本、米国、および中国政府間での折衝のプロセスを検討することが可能となった。この問題にかかわる文書は数千件存在し、それを整理し更なる検討を加えることで、東アジアにおける冷戦、主権、領土の再編成過程を実証的に明らかにできるものと考えられる。来年度7月にイスラエル国テルアビブで開催される国際地理学連合地域会議における研究成果の公表に向けて、現在鋭意作業を進めている。
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