2008 Fiscal Year Annual Research Report
人口希薄な農村地域をエンパワーする-先進国での取り組みと日本の展望-
Project/Area Number |
20520694
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
松尾 容孝 Senshu University, 文学部, 教授 (20199764)
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Keywords | 農村 / 地域振興 / 地域資源 / 地域政策 / 人文地理学 / 景観 / 環境 |
Research Abstract |
文化財保護法の改正により文化的景観保護を地域計画に組み込む市町村が増えている。多数の住民に関わりがあるので、農林省等の事業に比べ予算規模は小さいが、地域形成に大きな影響を及ぼす。論文1では、生態学の概念を参考に、多様な伝統的農村景観に対応した複線的保全タイプを示し、かつ実現可能な景観保全を支援する応用研究を我々が要請されていることを指摘した。つぎに、論文2では、まず担い手農家の育成の現状を認定申請件数の分析によって検討し、ついで栃木・群馬両県の担い手農家の取り組みを検討した。産直施設の整備、畜産施設(尿・堆肥処理、肉加工)整備への行政支援、大消費地近接性のメリットや経営弾力性、主産地形成にむけた官(県)民一体の中長期戦略の重要性が明らかになった。一方で農業の地域差は大きい。山陰地域での全般的な衰退と集落営農の成長との併進、近畿北部での少数大規模農家の成長が指摘でき、全体像の把握に努めている。 学会発表では、住民の主体的な組織形成が地域発展の一翼を担う実現可能性を扱い、篠山市、奥多摩町、栃木群馬両県農村を対象に、大字・集落の人口規模の変化や職業類型と、機能組織の形成や施設・集落の再編との対応関係を考察した。行政主導が多く、主体的組織形成は不十分であるが、日常生活面でのニーズとともに、ライフステージ諸局面で専門知識を必要とし、目的型組織の必要が高まっている。農業でも、経営場所・作目・経営方針等に関する情報の獲得と判断が重要になっている。 以上は、人口希薄地域の振興を主関心とするスウェーデン研究者との著作および研究集会などにおいて公表した。2008年度交付申請書の研究実施計画に示した項目群に照らせば、1(1)(1)(2)(3)、(2)(2)、(3)(1)(2)、および2(1)を実行し、他は課題として残った。
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