2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国の集市流通システムの近年における変容に関する研究
Project/Area Number |
20520699
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
石原 潤 Nara University, 文学部, 教授 (70080265)
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Keywords | 集市 / 計画経済期 / 改革開放期 / 常設店舗 / 退路進庁 / モータリゼーション / 中国 / 成都市 |
Research Abstract |
当該年度においては、まず既刊の諸文献の整理により、集市をめぐる中国政府の政策の変遷を明らかにした。その結果、1949年から1978年の計画経済期には、左よりの政策と右よりの政策が交互に採られると言うぶれはあったものの、共通して集市に対しては抑制的な政策が採られたこと、これに対して1979年以降の改革開放期には、集市は奨励され、都市・農村ともに集市の復活や新設が行われ、集市での取引活動の自由化が進んだことが明らかになった。次に、多数の統計書の分析により、集市に関する諸統計数値の変遷を検討した。その結果、計画経済期には集市数の減少傾向が続いたこと、改革開放期に入ると、(1)集市数,(2)集市取引高、(3)その小売総販売高に対する割合のいずれもが、急速に上昇したこと、しかるに、1990年代後半以降、(1)が減少傾向、(2)が停滞傾向、(3)が低下傾向を見せ、集市の相対的衰退傾向が見られることが明らかになった。なお、近年の集市の相対的衰退の要因として、研究代表者は、市場の「退路進庁」政策の進展、常設店舗の叢生、モータリゼーションの進展、並びにスーパーマーケットの普及が影響していると推察した。これらの成果については、「地理学評論」誌の最近号に論文として発表した。 研究代表者はまた、集市の相対的衰退の実態とその要因を明らかにするため、四川省成都市近郊の集市群を、約10年ぶりに再訪し、集市をめぐって多様で急速な変化が起こっていることを確認した。その成果は、次年度に論文として公刊の予定である。
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Research Products
(2 results)