2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国の集市流通システムの近年における変容に関する研究
Project/Area Number |
20520699
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
石原 潤 Nara University, 文学部, 教授 (70080265)
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Keywords | 集市 / 中心地 / 都市の内部構造 / 常設店舗 / 中国 |
Research Abstract |
中国の伝統的集市流通システムは、計画経済期における抑圧と、改革開放期における奨励を経て、1990年代半ばに発展の極相を向かえた後、現在は相対的な地位低下の局面にある。その実態を把握し、要因を検討し、それが、農村地域の中心地の配置や都市の内部構造の変化に及ぼす影響をも検討するのが、本研究の目的である。 本年度は、昨年度に引き続き、地方誌、年鑑、地図等を購入し、集市の全国的な動向を明らかにするとともに、そうした変化の背景を探るべく、現代中国の社会・経済の実態を扱う研究書を購入した。その結果、集市数の減少、集市売上高の停滞、小売販売額に対する集市売上高の割合の低下は、依然として進行中であり、集市の相対的低下は、明白であることがわかった。またその要因としては、都市化の進展、商業の現代化の進展、モータリゼーションの進展などが想定された。 次に、河南省登封市域農村部と都市部、及び鄭州市区市街地での現地調査結果からは、次のようなことが明らかとなった。農村部では、(1)農村部の集市の規模の縮小傾向が確認され、(2)出店数の減少が、野菜など生鮮食料品においても、衣類など工業製品においても確認された。これらは、農村部における小型スーパーの出現と、小中心地における常設店舗の発達、並びに交通条件の改善に伴う上位中心地への志向などによって、引き起こされたと思われる。都市部では、街路の市が消滅し屋内に収容された市のみが存続しているが、後者についても往時の賑わいが感じられない。多数の大型スーパーの立地、及び現代的各種商業施設の立地が、伝統的流通'システムを著しく改変している。なお、生鮮食料品の流通に関して言えば、流通量の急拡大に伴い、卸売市場の拡大と激しい市場間競争が確認された。
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Research Products
(2 results)