2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520700
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀬川 昌久 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00187832)
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Keywords | 中国 / 少数民族 / 族譜 / ショオ族 / 回族 / チワン族 / 漢族 / 父系出自 |
Research Abstract |
本課題の最終年度である平成23年度は、東日本大震災の影響を受けたが、最終的にはほぼ予定通り広東省のショオ族の族譜に関する分析を終え、それをもとに学術論文を数本執筆することができた。また、画像処理等により整形した族譜資料を整理し、研究成果報告書を作成・印刷した。そして、これらの研究成果を同業研究者に配布した。研究成果報告書の内容は以下のとおりである。 研究成果報告書(日本学術振興会提出用のコピー)/本研究の企画の趣旨(科研費申請書より抜粋)/本研究の実施経過(各年度の科研費実績報告書より抜粋)/研究成果論文(1)ショオ族となった客家の族譜/研究成果論文(2)ショオの族譜にみる「伝統的」信仰・儀礼/資料編(ショオ族の族譜)雷氏族譜(広東省南雄市油山鎮井湾村雷氏、光緒23年編)・南雄藍氏族譜(南雄藍氏族譜理事会、1997年編)・〓渓藍氏族譜(広東省河源市〓渓郷上藍村藍氏、1992年編)・双田藍氏族譜(広東省河源市双江郷双田村藍氏、1994年編)/あとがき このうち研究成果論文(1)は、1980年代の民族籍獲得運動において広東省北部のショオ族の族譜が遠方在住のショオ族籍を既に獲得している同族との系譜関係証明のための根拠として用いられ、彼らのショオ族籍追認に寄与したことを明らかにし、族譜が現代の少数民族認定の文脈中においても有効性のある資料として扱われていることを示した。また研究成果論文(2)においては、同じく広東省北部のショオ族の族譜にはショオ族の伝統文化についての記事が民族学の研究書などからの引用の形で掲載されており、生活習俗レベルで消えかけた民族的「特色」の継承または創出の媒体として族譜が機能していることを示した。これら少数民族の族譜が現代社会の脈絡中においてもつ機能は、従来の研究においてはまったく知られていなかったものであり、本研究はそれらの解明に大きく資することができた。
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Research Products
(3 results)