2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520701
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
柄木田 康之 Utsunomiya University, 国際学部, 教授 (80204650)
|
Keywords | 文化人類学 / オセアニア / 人口・移住 |
Research Abstract |
研究代表者は,平成21年8-9月にミクロネシア連邦ヤップ島,米国グアム島に4週間滞在し,在外ヤップ人協会の規約の収集,役員のインタビュー,協会成員の世帯調査を行った。平成22年3月にはポンペイ島に約2週間滞在しポンペイ島で実施される「ヤップの日」の参与監察を実施した。調査の期間中,ヤップ島,グアム島,ポンペイ島で在外ヤップ人の葬儀の参与観察を実施し,ヤップ人協会に関するマスメディア資料を収集した。 ポンペイ島のヤップ出身者協会の最大の年間活動は3月に開催される「ヤップの日(Yap Day)」の当地での開催である。「ヤップの日」では伝統舞踊が演じられ,バーベキューと同時に伝統料理が振る舞われ,「ヤップの日」の成功が母社会・ホスト社会の双方での在外協会成員のアイデティティの承認の機会であることが確認された。「ヤップの日」の運営組織であるヤップ人協会はヤップ本島と離島の出身者共通の組織であるが本離島の序列,年長者/若者の序列が様々な場面で意識される一方,協会はポンペイ州でのNPO法人としての認証を求めており,協会の異種混交的性格が確認された。 在外ヤップ州出身者にとって葬儀は協会活動とは区別される重要な協同の機会である。今年度の調査期間中,グアム在住のヤップ州離島出身者の死が,グアム島での仮葬儀と贈与交換,遺体のヤップ島への搬送,ヤップ島ての仮葬儀と贈与交換,出身島嶼への遺体の搬送と葬儀と贈与交換という複雑な葬送慣行を生み出していることが確認された。また遺体に関する葬送慣行とは別に,近親に死者が出た世帯は,死が生じた場所にかかわらず,その任居でカトリック教のロザリーをが死後9日間催し,これが広範な親族結集の機会となっていることが確認された。これらの新たな葬送慣行に関する経済的負担に備えるため,ヤップ州出身者はさまざまな相互扶助の組織を立ち上げており,ヤップ人協会も相互扶助の重要な担い手であることが確認された。
|
Research Products
(3 results)