2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520701
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
柄木田 康之 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (80204650)
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Keywords | 文化人類学 / オセアニア / 人口・移動 |
Research Abstract |
研究代表者は,平成22年8-9月にミクロネシア連邦ヤップ島,ポンペイ島,米国グアム島に4週間滞在し,各地の在外ヤップ人アソシエーションの規約,活動記録の収集,役員のインタビュー,協会集会への参与観察を行った。またグアム島においてグアム政府ミクロネシア問題事務所で担当官に,自由連合締結以降のグアム政府のミクロネシア移民政策についての聞き取り調査を行った。 グアム島に存在するアソシエーションには,ヤップ州全体,ヤップ本島個別地区,ヤップ州個別離島と,複数のアソシエーションが存在する。アソシエーション活動の集会の開催と募金活動を中心とし,活発なアソシエーションは募金のために時にNPO法人登録を行う。募金活動は単なる寄付の集積だけではなく,洗車,清掃,昼食販売などの経済活動からの利益を集積し,アソシエーションに活動にあてる。本研究はこのような募金活動を解明することでアソシエーションによる市場経済の贈与経済への流用過程を明らかにした。 アソシエーションの最も重要な年間活動は3月から4月に開催される「ヤップの日」の開催であり,「ヤップの日」の費用捻出が募金活動の主要な目的である。「ヤップの日」の成功は母社会・ホスト社会の双方におけるアソシエーションの承認につながる。 現在NPO法人登録されているのはヤップ州全体のアソシエーションのみである。しかしNPO法人登録は全てのアソシエーションが目指しており,法人化を目指しアソシエーション規約等を制定している。本研究では,法人化登録を目指した移民アソシエーション活動の歴史を解明することで移民の自助組織の発展を評価する見通しをえた。
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