2009 Fiscal Year Annual Research Report
「移動」と新たな公共領域の構築―中国沿海部のムスリム社会を中心に
Project/Area Number |
20520708
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
王 柯 Kobe University, 国際文化学研究科, 教授 (80283852)
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Keywords | 公共空間 / 移動 / マイノリティ / イスラーム / 老人会 / 南音 |
Research Abstract |
1、イギリスのKing's College Londonの中国研究センター、The School of Oriental and African Studies of the London University(SOAS)、Westminster Universityなどにおいても資料調査と収集に努め、ロンドンの華僑・華人の集中するSOHO地域の華僑・華人団体について調査をおこなった。ロンドンにおける研究の最大の成果は、公共空間(Public Space)の概念をもって華僑社会、中国の「僑郷」(華僑の故郷)を始めとする中国沿海部地域社会を分析する視点が触発され、そして有効性についての検証を始めたことである。中国関連の研究において、Spaceの概念はおもに「都市化」にともなう新たな「空間」(主として地域的)の形成による文化摩擦に用いられた(たとえば、Duanfang Liu, 2006 Remaking Chinese Urban Form : Modernity, Scarcity and Space, 1949-2005, London and New York, Routledgeなど)が、それがあくまで具体的、具象的な概念であった。しかし「空間」がその開放度(つまり公共性)、重複性、血縁や地縁との距離、権力との関係などによって、業界の団結、地域社会の安定、現地人社会との一体化などにおいて著しく重要な役割をはたしていることが、SOHO地域の華僑・華人社会と民間団体に対する調査で分かった。 2、12月26日から1月11日までに北京、アモイ、泉州にて「移動」と「空間」に関して資料調査と収集を行った。北京に滞在する期間中に中国中央民族大学にて資料収集を行い、複数の民族問題研究者との間で意見交換を行い、また中国社会科学院にて人類学研究所長、中国辺疆史地研究センター長をはじめ、複数の研究者との間に中国の民族問題の現状と研究状況についても情報交換を行った。福建省に滞在している期間中、泉州地域にて陳〓鎮というムスリム地域の経済発展と社会安定が多元文化との関係について徹底的な調査を行い、膨大な資料を収集できた。
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