2009 Fiscal Year Annual Research Report
越境する文化と移民-海外における中国伝統芸能・音楽の伝播と変容に関する比較研究
Project/Area Number |
20520711
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
王 維 Kagawa University, 経済学部, 教授 (10322546)
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Keywords | 日本近代琵琶 / 遊芸・いき / 家元制 / 越境民族文化 / 芸能・音楽の空間 / 地域と観光 / 台湾老街 / 賑わい文化 |
Research Abstract |
報告者はこれまでの研究を踏まえた上で、平成21年度において、新たに行った調査は下記の通りである。1、中国伝統音楽伝承の比較調査として日本伝統音楽琵琶に関する調査。2、新移民により新たな越境音楽の伝播についての調査。3、地域観光に関する調査。 1、日本の伝統音楽筑前琵琶について文献調査及び聞き取り調査を行った。筑前琵琶の前身となる盲僧琵琶は中国に源流とされ、大正時代から昭和時代の前期にかけてその全盛が呈されていた。その伝承の背景には江戸時代に形成されていた遊戯文化の影響や家元制の役割がある。調査結果の一部を「日本近代琵琶の盛衰に関する考察」としてまとめた。 2、越境する伝統文化の受容・変容という視点から、従来日本に伝えた中国芸能・音楽と新移民による新たに伝播された音楽と比較し、民族文化伝播のダイナミズムと越境やエスニック・アイデンティティの表出として、日本における中国芸能と音楽空間が創りだされている状況を調査し考察した。芸能・音楽の伝播には、文化的距離、大衆の受容性、時代の空気、受け入れ主体の存在(伝播のコア)をあげることができる。その結果を「日本における中国芸能・音楽の空間として」発表した。 3、地域観光に関連する調査として、台湾の老街と日本四国の高松のまちづくりについて調査を行った。行政のイニシアティブで台湾各地における老街の復興と活性化運動が行われ、観光資源として活用されている。これはこれから日本の地域観光に参考例として提供できる。調査結果を「賑わいの文化創造」としてまとめた。
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