2008 Fiscal Year Annual Research Report
南西日本の過疎高齢海村における地域おこしと観光資源の開発に関する社会人類学的研究
Project/Area Number |
20520712
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高桑 史子 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 教授 (90289984)
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Keywords | 甑島 / 石垣島 / 沖家室島 / 奄美大島 / 過疎高齢社会 / 地域おこし / Uターン者 / Iターン者 |
Research Abstract |
当該研究の初年度にあたる本年度は、当初の研究対象予定地域である薩摩川内市(甑島)、石垣市(石垣島)、周防大島町(周防大島と沖家室島)、鹿児島県瀬戸内町(奄美大島瀬戸内地区)の4箇所で基礎的データの収集と関係機関での研究協力依頼などを実施した。また、各地域で、住民、高齢者組織、地域おこしに取り組んでいるグループや個入からの聞き取り調査も行った。当該地区は地域おこしと観光開発をリンクさせる方策が施行されているが、同時にUターン者だけでなく、とりわけ中年層の移住に力を入れており、「田舎に住みながら」働くということを前提に産業振興にも力を入れている。つまり定年後を年金を消費しながら暮らすのではなく、「田舎での」生産活動を視野に入れた政策を実施している。またこのような政策に対し、移住者も積極的に新たな生産活動を模索している。さらに、移住者の大半が地域の伝統的な祭りを担っており、これは地域社会が無目的に移住者を受け入れるのではなく、役揚との連携や地域社会の組織(集落単位の自治組織)が移住者を選択していることが明らかになづた。また近年の日本社会の変化として指摘されているが、若年層の帰農により、人生の一時期を「田舎」で暮らすという新たなライフサイクルの受け皿的場として、当該地域が存在していることも指摘できる。しかしながら、このような動きも研究対象として選定した4地区により異なり、集落内と外とのネットワーク、集落内の既存の家関係が微妙に移住行動に影響を与えており、この相異を検討することから各地域の基層的な社会構造の違いが明らかになるであろう、という仮説を得るに到った.
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