2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アラブ諸国におけるマイクロファイナンスの実態とそのインパクトに関する比較研究
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20520713
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
鷹木 恵子 桜美林大学, 人文学系, 教授 (60211330)
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Keywords | マイクロファイナンス / 中東・北アフリカ諸国 / 貧困削減 / 雇用創出 / 文化人類学 / ジェンダー開発 / インパクト / エンパワーメント |
Research Abstract |
平成22年度には、4月に中東アフリカ地域マイクロクレジット(MC)・サミットがケニアのナイロビで開催されたため、それに出席し、国際金融機関や国際援助団体の他、この地域の各国政府代表者やマイクロファイナンス(MF)機関から多くの情報を収集し、また貧困削減に向けての意見交換を行った。ナイロビではスラム街で活動するNGOを視察する貴重な機会も得ることができた。またこれまでの調査研究を踏まえ、8月には『チュニジアを知るための60章』と題した編著書を明石書店から出版することができた。この著書の21章分と3コラムを担当したが、そのなかでマイクロクレジットの現状と貧困削減効果についても執筆した。また11月には、札幌JICAの国際研修プログラムにおいて、アフリカからの研修生にマイクロクレジットに関するフランス語での講義を担当したほか、同月には国際文化会館で開催されたオリエント・クラブ主催の研究会でも、中東・北アフリカ地域のマイクロファイナンスとその貧困削減のインパクトについての研究報告を行った。さらに今春には、当初、イエメンとレバノンでの現地調査を予定していたが、民衆革命などによる政情不安もあったため、アラブ首長国連邦とトルコで現地調査を実施した。トルコはEU加盟も目差している国であるが、国内の経済格差が大きく、東部ではグラミン方式のMCが大きな成功を納めていることが現地調査から明らかになった。トルコの事例は、最貧国ばかりでなく、中所得国においてもMC・MFが貧困削減に効果のあることを実証するものとして重要な意義をもつものであり、トルコの事例も比較考察にうまく位置づけて、研究成果に反映させていきたい。
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