2009 Fiscal Year Annual Research Report
台湾先住民アミと漢人の生活実践にみる「民族」と「伝統」-身近な他者との交渉の諸相
Project/Area Number |
20520715
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
西村 一之 Japan Women's University, 人間社会学部, 助教 (70328889)
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Keywords | 文化人類学 / 台湾 / 伝統 / 民族集団 |
Research Abstract |
平成21年度の研究遂行に当たっては、台湾東部地域での現地調査を実施するとともに、研究機関などを利用しての史資料収集を以下の通り実施した。 現地調査については、1、先住民アミと漢人が交渉する領域としての漁撈を対象とした調査を実施した。具体的には、アミおよび漢人それぞれのカジキ突棒漁を行う漁民を対象とした聞き書きを実施した。観光化や地域文化に対する眼差しの変化から、彼らが行うカジキ突棒漁という漁法には、「伝統的漁法」という位置づけがなされている。これに対し、実際の漁撈の担い手である漁民自身の対応について調査を進めている。さらに、2、過去の記憶や経験を地域や民族集団の歴史・伝統として構築していく動きについて調査を本格化した。現在、民間の文化団体が発足し、郷土の歴史や文化に関する記録保存作業が進んでいる。その中に先の漁業領域が重要な位置を占めていることから、この作業に協力し、何が対象として選択されていくのか、地域住民による意味付けの過程について調査を進めている。これは一方で、行政側が強く後押している観光整備の一環としての記念碑設立や公園整備における伝統の記録化に対し、ある種の駆け引きの中で進んでいる。こうした伝統や歴史を巡る調査地住民の動きは、表面的には同様のものとして捉えられるが、住民の主体性の異なる表れとして受け取れる。 また、調査地の歴史的出来事について史料の収集を行うため、中央研究院(台北市)の研究機関、国家図書館および中央図書館台湾分館を利用した。なお、諸機関においては現地研究者との研究交流も合わせて実施した。 本研究計画の中間報告として、国際学会であるアメリカ人類学会東アジア研究部会において、口頭発表を行い研究成果を公表した。調査地にある水産学研究機関において、関連テーマによる学術講演を実施した。
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Research Products
(1 results)