2008 Fiscal Year Annual Research Report
移民と本国社会-グローバル・サモア人世界のアイデンティティと互酬性
Project/Area Number |
20520716
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山本 真鳥 Hosei University, 経済学部, 教授 (20174815)
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Keywords | 移民 / アイデンティティ / トランスナショナリズム / 互酬性 / グローバリゼーション / 芸術 / サモア / ニュージーランド |
Research Abstract |
具体的には、2008年8月〜9月、2009年3月にそれぞれ3週間の現地調査(ニュージーランド)を行った。当初どちらかの調査をサモアで行う計画であったが、ニュージーランドのサモア人コミュニティの新しい動きが大変魅力的であり、その調査がアイデンティティを考える上でも大変重要であるとの見地から、2度ともニュージーランドでの調査となった。芸術家たちは、ごく普通のサモア人移民からすれば、「サモア人らしくない」風采であり、行動様式の人々であるが、彼らなりに「サモア人とは何か」を考えていることは大変興味深く、移民のアイデンティティといってもさまざまな見解があり、さまざまな意識レベルがあることを明らかにすることができた。ニュージーランドの文化行政の中で、サモア人をリーダーとする太平洋系芸術家たち、またスポーツ選手や芸能人の活動は大変盛んであり、周囲の他のエスニック集団の間にもその存在は無視できないものとなりつつある。また彼らの活動は本国社会にも影響力をもっている。 一方、互酬性に基づく儀礼交換の慣習は、サモア政府の度重なる縮小を目指す方策にもかかわらず、実現しているとはいいがたい。本国社会からの募金活動の一環で行われる、慣習の延長であるマラガ(団体旅行)のケース・スタディを行うことができ、相当の金品がマラガを通じて本国に流れていることを明らかにすることができた。その対価としての儀礼財は再び、ニュージーランド・サモア人コミュニティに滞留しつつあると考えられる。グローバル・サモア人世界の中心性は、こと儀礼に関する限り、サモアにあることが明らかである。しかし一方で、伝統的ダンスや演説といった、サモア人のたしなみは、サモア人集住地区の高校のサモア・クラブなどの活動により、ニュージーランドでも再生産されており、大変盛んに行われていることを知ることができた。
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Research Products
(3 results)