2010 Fiscal Year Annual Research Report
都市空間における住民組織・活動の「コミュニティ戦略」についての文化人類学的研究
Project/Area Number |
20520718
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
西川 麦子 甲南大学, 文学部, 教授 (20251910)
|
Keywords | 都市空間 / 地域 / 住民組織 / コミュニティ / 情報ネットワーク / メディア / 文化人類学 / 実地調査 |
Research Abstract |
本研究は、多様な人々が集まり住民の転出入の移動率が高い都市において、家族や対面的な地縁関係をこえた、しかしそこで暮らす場所に根ざした住民のつながりや組織運営の可能性を、ロンドンのハマースミスでの実地調査にもとづいて探ることを目的とする。3年にわたった本研究の成果の一部は、『フィールドワーク探求術』(2010年4月)に調査事例として分かりやすく提示した。そのうえで、2011年2月12日~28日に、下記の内容でロンドンでの現地調査を実施した。(1)ハマースミスにおける、Grove Neighbourhood CentreとBrackenbury Residents Associationへの取材、(2)1960年代のノッティング・ヒルにおけるコミュニティ活動の関係者への取材、とくに、1967年ノッティング・ヒル・サマープロジェクト、ロンドン・フリー・スクールについて、(3)上記に関するドキュメンタリー調査(British Library Newspaper、およびKensington Central Libraryにて)。 (2)に関して、1960年代当時の活動家9名の方に、それぞれ長時間にわたり話を聞くことができ貴重な記録となった。そこで、2つのコミュニティ活動のかたちが浮き彫りになった。1つは、近隣住区を単位として、あるは拠点をおき、住民間の対面的な関係を重視した組織、活動(ネイバーフッド・カウンシル、コミュニティ・センターなど)と、もう1つは、さまざまなメディア(プリント、テレビ、カメラ、ビデオなど)と情報のネットワークを駆使し、地域住民のニーズや関心をとりこんだイベント実施(フリー・スクール、フェスティヴァルなど)である。1960年代後半において、これらの先駆な試みが、その後、ハマースミスでみてきたようなインナーシティでの地域の組織・活動の原型となり、今日ではインターネットなどによる情報ネットワークを利用したかたちで展開している。
|
Research Products
(1 results)