2008 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化と南インド音楽の変容に関する人類学的研究
Project/Area Number |
20520722
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
寺田 吉孝 National Museum of Ethnology, 民族文化研究部, 教授 (00290924)
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Keywords | 芸能 / 芸術 |
Research Abstract |
本研究初年度の20年度には、インド(2回)およびシンガポール(1回)において現地調査を行った。インドでは、21年度以降の本調査に向けて、南インド古典(カルナータカ)音楽における1990年代以降の展開と新しい受容形態に関する予備調査を行った。主にインド国内外をつなぐ音楽ネットワークの実態に関して、音楽家、在外インド人(NRI)音楽家をインドに紹介する音楽協会、古典音楽専門誌の編集委員などに聞き取り調査を行った。また、マドラス大学、マドラス開発研究機構(MIDS)、バーラティダーサン大学などに所属する研究者(文化史、グローバル化研究、メディア研究)との面談を通して現地における研究の現状と課題を整理するとともに、テレビ・ラジオ局関係者、映画監督、ビジュアル・アーティストなど幅広い分野で活躍する文化人らにもインタビューを行い、現代南インド社会における音楽の文化的位置づけや可能性に関する議論を行った。その結果、古典音楽の生産・流通・消費が、グローバル化を背景に急変する南インド都市住民の生活環境や価値観と不可分であることを確認することができた。 シンガポールでは、シンガポール大学(NUS)、南洋理工大学(NTU)の研究者と面談し、シンガポールにおける国家主導の多文化主義がインド系コミュニティに及ぼす影響、南インドとの人的ネットワーク、インド人コミュニティ内の多様性などに関する予備調査を行った。特に、新たなシンガポール文化の創出を目指して各民族集団(中国系、マレー系、インド系)の伝統音楽・芸能を融合するナショナリスティックな動向と、グローバル化するインド音楽との関係について予備的な聞き取り調査を行った。
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Research Products
(6 results)