2009 Fiscal Year Annual Research Report
チベット語の古層を探る ―東北チベット、アムド地方周辺の方言調査を通して―
Project/Area Number |
20529006
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
海老原 志穂 Seisen University., 文学部, 講師 (30511266)
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Keywords | 記述言語学 / チベット語 / アムド方言 / フィールドワーク / 少数民族 / 統語論 / 音韻論 / 比較言語学 |
Research Abstract |
本研究は、筆者が今まで行ってきた青海省共和県におけるチベット語アムド方言の記述方法を基に、チベット語の古層を反映すると考えられる甘粛省天祝県のアムド方言を記述し、他地域のアムド方言およびチベット文語、敦煌文献に現れる中古チベット語と比較検討することによって、チベット語の通時的な変化の一端を明らかにすることを目的とする。 本年度の研究業績は、現地調査、研究成果のまとめ、発表の3つにわけられる。研究代表者は、平成22年1月16日~22年3月26日の日程で、中国、甘粛省及び青海省において、主に青海湖付近の牧区下位方言の言語調査と情報・資料の収集を行った。 アムド方言に特有な文法特徴である、引用節中の3人称代名詞の研究を行い、平成21年7月27日-31日にかけて開催されたThe 16th World Congress of IUAES(第16回国際人類学会)では、'Logophoricity in Chapcha Dialect of Amdo Tibetan'と題した研究発表を行った。研究会発表としては、共同研究プロジェクト「チベット=ビルマ系言語から見た文法現象の再構築2:文の特徴付けと下位分類」において、「アムド・チベット語の文のタイプ」について、人間文化研究機構国立国語研究所、共同研究プロジェクト12「節連接へのモーダル的・発話行為的な制限」において'Modal and speech-act constraints on clause-linkage in Amdo Tibetan'と題した研究発表を行った。 論文としては、アムド方言の格体系を記述した「アムド・チベット語の格体系」やテキストとその分析を示した'Text from Amdo Tibetan'Little Frog as God's Son'の執筆を行った。
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