2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミクスト・リーガル・システム研究序説―日本法の比較法的再定位と実践的再構成―
Project/Area Number |
20530006
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 英実 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50303102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 康徳 大妻女子大学, 文学部, 教授 (80114437)
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Keywords | mixed legal system / mixed jurisdiction / Roman Dutch Law / 南アフリカ法 / スコットランド法 / ルイジアナ法 / コモン・ロー / 法源論 |
Research Abstract |
本年度は、「ミクスト・リーガル・システム(Mixed Legal System;あるいはミクスト・ジュリスディクションMixed Jurisdiction)」に対して 1)スコットランドにおける調査(Edinburgh大学) 2)米国ルイジアナにおける調査(Tulane大学) 3)南アフリカにおける調査(Stellenbosch大学、Cape Town大学、South Africa大学、Pretoria大学)を行い、各大学において、ミクスト・リーガル・システム研究方法論をめぐる論争に対する日本法の貢献の可能性について発表および意見交換を行った。 方法論を巡ってはミクスト・リーガル・システムをコモン・ローとシヴィル・ローの混合と定義するアプローチと、より広く様々な法の混合と定義するアプローチの間での議論がさかんであるが、前者を採用して日本法をMLSとして考察する可能性を具体的に示し、むしろ狭義の概念による方が厳密かつ双方向の比較がおこないやすい面がある、という試論を展開した。 加えて 4)イングランドにおいて集中的にコモン・ロー法源論を中心とした探求を進め 5)オクスフォード、ケンブリッジ両大学のMLSに関する蔵書調査を行うと共に 6)MLS研究にとって不可欠なコモン・ロー理解について、日本人ジュリスト向けの教科書作成の準備を進めた。 以上を通じて、さらに研究を深化させるための海外研究協力体制が強化れ、序論の次の段階として焦点を当てるべき論点(法源、衡平、信託、名誉毀損等)が明確になった。
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