2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇田川 幸則 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80298835)
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Keywords | 中国法 / 精神損害賠償法 / 法制度形成 / 裁判例 |
Research Abstract |
中国の立法の特徴としてこれまで「事実追認型」であることがしばしば指摘されてきた。しかし、研究代表者がこれまで取り組んできた研究により、中国精神損害賠償法の分野では、これとは異なり、裁判実務の蓄積が精神損害賠償法制度を創出してきた、という事実が判明した。そこで、精神損害賠償にかかる制度形成過程の分析をつうじて、中国の立法メカニズムにいかなる変化が生じたのか、これが今後の中国の立法にいかなる影響を与えうるのかを解明することができるのではないかとの着想に至った。よって、本研究では、中国損害賠償法の形成過程の分析を中心に、中国における法制度形成にたいする裁判例の与える影響を析出し、これにより、裁判所による法規範創造機能、法の実現における司法と市民の関係についての解明を試みるものである。 本年度は本研究の最終年度として、初年度、昨年度に引き続き現有資料の精査と補強ならびに現地資料収集の収集を行うとともに、以下のような活動を展開した。(1)昨年度実施する予定であった全国人民代表大会常務委員会法制工作委員会、国務院法制弁公室、最高人民法院の担当者に対するインタビュー調査を実施した。(2)北京市、上海市、山東省、湖南省および福建省の各地の法院および関係機関におけるインタビュー調査を実施した。(3)不法行為法[侵権責任法]立法および関連する司法解釈の制定に携わった学者に対するインタビュー調査を中国にて実施した。(4)研究成果の一部を2本の日本語論文で発表するとともに、中国の4つの研究会において中国語で口頭発表した。
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Research Products
(6 results)