2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国における労働紛争解決法と労使コミュニケーション
Project/Area Number |
20530012
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
梶田 幸雄 Reitaku University, 外国語学部, 教授 (20382591)
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Keywords | 外国法 / 中国法 / 労働契約法 / 労働審判法 / 労働争議 / 就業規則 |
Research Abstract |
2008年1月1日からの「労働契約法」が施行に伴って、中国における企業では就業規則の変更が必要になっている。ところが、就業規則の変更手続、就業規則と労働契約および労働協約の内容に不一致があった場合の適用順位という問題が生じる可能性があると思われる。この場合、就業規則の法的性質が論点になる労働紛争も生じるのではないかと考える。そこで、平成20年度においては、就業規則の問題を中心に研究した。 就業規則の制定に際しては、(1)使用者は労働者代表大会または全労働者と討論をし、(2)就業規則草案および意見をまとめ、(3)これを労働組合または労働者代表に提出し、(4)労働組合または労働者代表と平等に協議し、(5)変更・調整し、(6)最終案を定め、(7)決定内容を公開し、かつ労働者に告知することが必要であり、さらに労働行政部門に届けるのが適当である。こうして適法に制定された就業規則は、これを労働者と使用者は遵守しなければならない。就業規則は、これ自体は法ではないが、法に基づき制定されたものであり、一定の規範としての意義を有する。ただし、法的効力を有するためには、(1)就業規則制定手続の「適法性」、および(2)内容の(1)「適法性」と(2)「合理性」が問題となる。有効な就業規則として法的効力を有する前提および判断の優先順位は、第一に(1)就業規則制定の手続の瑕疵の有無、第二に(2)-(1)内容の「適法性」、第三に(2)-(2)内容の「合理性」ということがいえる。 中国進出企業が、就業規則を制定・変更する場合には、就業規則の制定手続、就業規則の法的性質を良く知って、これを行うことが肝要であるということを明らかにした。
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