2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国における労働紛争解決法と労使コミュニケーション
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20530012
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
梶田 幸雄 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20382591)
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Keywords | 外国法 / 中国法 / 労働法 / 労働仲裁 / 労働紛争 / 人事労務管理 / 労働争議 / 労使コミュニケーシ |
Research Abstract |
1 中国において労働争議、とりわけ集団争議が多く発生しているところ、労働争議発生の原因を考察し、企業として如何なる労働争議の未然防止策、労働争議発生時の緊急対策を講じることができるのかについて検討し、労働争議問題に関する今後の展望をし、労使コミュニケーションのあり方について企業実務家に提言をした。 2 中国における労働争議の概念は、集団的なものだけではなく、労働者個人の問題も含まれる。労働争議の典型的事案として、(1)労働契約の締結、(2)就業規則の認定基準、(3)営業秘密保持契約、(4)競業制限と違約責任がある。 3 企業は、労働争議を未然に防止するために労働契約、就業規則、労働協約などを法の規定に従って有効な手続きにより定めることが肝要である。とりわけ、抜打的ストライキを規制する労働協約の締結が重要である。この場合、(1)労働者から信任された労働組合の設立を前提として、この労働組合を唯一の交渉団体とし、(2)労働者の労働条件、待遇改善など労働者の利益に直接的かつ密接にかかわる事項について協議する労使協議会を設置し、基本的にはこの労使協議会で協議を行い、(3)労使協議会においても協議が一致しない場合に団体交渉を行うものとし、団体交渉という事態が生じた場合の諸手続き、討論内容、方式について規定し、(4)団体交渉でも協議が一致せずに争議行為となる場合、正当な争議行為として認める手続きおよび範囲を明らかにしておく必要がある。 4 労働争議の原因として、労使コミュニケーションの欠如ということが大きな原因となっている。労使コミュニケーションの仕組みとして、従業員代表大会と労働組合の役割を重視し、また、企業内の争議処理制度を確立しておくことも有効である。会社の機関設計として、従業員取締役、従業員監査役制度の導入について検討し、準備をしておくことも肝要である。
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