2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530019
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小山 正善 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (00144907)
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Keywords | 一般的確認訴訟 / 法律関係 / 確認の利益 / 補充性 / 連邦行政裁判所 / ドイツ |
Research Abstract |
22年度に行った研究実績の概要は、つぎのとおりである。(1)今年度までの研究成果の一部である、一般的確認訴訟の対象如何という問題に関する連邦行政裁判例と行政訴訟法学説をまとめ、「ドイツ連邦行政裁判所の判例に見る一般的確認訴訟の対象」のタイトルで記念論文集に収録・公表した(内容・意義等につき、前年度までの研究実績の概要参照)。(2)前年に引き続き、一般的確認訴訟の確認対象である「法律関係」に関して、連邦行政裁判例と学説を取りまとめ、「一般的確認訴訟の対象としての法律関係」のタイトルで公表を予定している(岡大法学会雑誌61巻1号(2011年9月頃刊行))。この論文では、法律関係の理解に関して、a確認対象である法律関係をできるかぎり広く理解した上で訴えの許容性の他の箇所(例、正当な確認利益)で狭めるものと、b法律関係そのものを「具体性」や「係争性」といった要素を介して狭く理解するものとがあり、連邦行政裁判所の採用する後者bにおける問題点のほか、過去および将来の法律関係の確認可能性、第三者法律関係の確認可能性、更に、どのような請求が確認可能な法律関係と見なされているかを裁判例等を手がかりに具体的に明らかにした。(3)今年度手がけはじめたものとして、一般的確認訴訟のその他の訴訟要件、すなわち「確認の利益」、形成訴訟・給付訴訟に対する「補充性」、「原告適格」などに関わる研究があるが、これらについては24年度中に論文として公表することを予定している。以上の、特に(2)および(3)の考察・検討は、ともすれば検討課題に深く立ち入ることなく(当事者訴訟としての)確認訴訟の活用を唱えるだけの嫌いのあったわが国学説の不十分さを補うとともに、活用に対しなおも慎重と見受けられる裁判所を軟化させるための一助となるものと考えている。
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Research Products
(1 results)