2012 Fiscal Year Annual Research Report
M&Aおよび企業組織再編取引の複雑化に対応した課税のあり方に関する研究
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20530021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡辺 徹也 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10273393)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 外国子会社配当益金不算入 / 資金還流税制 / 配当課税 / 資本金等の額 / みなし配当 / 株式移転 / 自己株式取得 / 法人税 |
Research Abstract |
1.外国子会社からの配当が親会社において益金不算入とされる制度(法法23条の2)について引きつづき検討を行い、資金の一部は還流されていないということをデータに基づき実証的に検証した。さらに、この制度の理論面について、特に外国で徴収された配当(親会社への配当)に対する源泉税が、日本の納税義務算定にあたり考慮されない現行制度の可否について検討を行い、当該制度への一定の理解を示すと共に、資金還流阻害の原因となっている可能性についても指摘した。 2.税法における資本および配当の概念について、会社法との比較を中心に考察した。まず配当について、税法は配当概念を会社法(商法)より借用してきたが、現行法には例外が存在するとして、各みなし配当規定を取り上げて検討した。次に、みなし配当の計算で重要なのは、「対応資本金等の額」であることを明らかにした上で、この「対応資本金等の額」が税法上の資本概念であること、および税法と会社法の乖離現象が進んでいることを示した。さらに立法論として、わが国の制度は選択肢の1つに過ぎず、別の制度の可能性としてアメリカ法を参照した。 3.組織再編税制の分野では、適格株式移転と自己株式取得の問題を扱った。法人が自己株式を取得した場合、法人税法施行令8条1項17号および同9条1項12号により、資本金等の額と利益積立金額が減額され、結果として当該自己株式の取得価額はゼロになると考えられる。問題は、適格株式移転において、株式移転完全子法人となる法人が取得していた自己株式に、株式移転完全親法人の株式が割り当てられる場合でも、当該割り当てられた株式の取得価額が(同8条1項1号ヘおよび同119条1項10号に基づいて)自己株式の取得価額を引き継ぐ形でゼロになるかどうかであり、解釈論としてはゼロが妥当であるが、立法論としては同8条1項1号ヘの見直しが必要となる可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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