2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 啓亘 Kyoto University, 大学院・法学研究科, 教授 (80252807)
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Keywords | 国際法学 / 国際連合 / PKO / 地域的機関 / 安保理 / 海賊 / 多国籍軍 / 内戦 |
Research Abstract |
本年度は主として以下の3つの角度から国連の平和維持機能を中心に考察を行った。 第一に、21世紀に入ってからの国連安全保障理事会(安保理)の機能の拡大と、国連平和維持活動(PKO)における活動原則の規範的展開をあらためて確認するとともに、とりわけ2008年に国連より公表された「キャップストーン・ドクトリン」と呼ばれる報告書の検討を通じて、現在のPKOの問題点の指摘と評価を行った。この検討は、近々、村瀬信也編『国連安保理の機能変化(仮題)』(東信堂)所収の論文として公表されることになる。 第二に、平和維持機能をめぐる国連と地域的機関の間の関係について、資料収集とともにその検討を開始した。この点では、国連とアフリカの地域的機関(主としてアフリカ連合(AU)と西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS))の関係についてリソースなどの面での検討を行った国連報告書が2008年末に公表され、引き続き安保理でも議論がなされていることから、そのフォローを行っているところである。それと平行して、国連と欧州連合(EU)の権限関係等についても、スーダンやチャドの事例などを調査しつつ、検討している。この作業は次年度以降も継続される。 第三に、今年度に新たに国際社会の問題として(再)登場した海賊問題を国連の平和維持機能の観点から考察した。具体的にはソマリア沖の海賊問題をとりあげ、関連する安保理決議の内容ととその採択の際の安保理での議論、さらには海洋法規則等に照らした規範的側面と、国連加盟国やEUなど地域的機関によるその実施の側面を関連付けながら、ここでの国連の平和維持機能の内実に光を当てた。その成果は、次年度に、坂元茂樹編『国際立法の最前線(仮題)』(有信堂)所収の論文として公表予定である。
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