2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530041
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森田 章夫 Hosei University, 法学部, 教授 (30239652)
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Keywords | 国際法 / 海洋法 |
Research Abstract |
本年度は、2009年3月に法案として提出され、国会で審議されていた「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」(いわゆる海賊対処法)が6月に成立した。そのため、海賊行為の防止・鎮圧に関する、検討対象とすべき、国会審議・論文が多数見られた。特に、本研究との関係で注目すべきは、海賊取締に対する普遍的管轄権の根拠をどのように捉えるかという点である。本研究は、この点を、「海上交通(往来)の一般的安全」の保護と捉えるものである。しかし、依然として、海賊船舶がどの国家に対しても忠誠を持たないという点を強調する学説が見られた。その意味では、まさに、無国籍船舶の規制との異同が問題となるのである。本研究は、後者の学説では、臨検しか認めない「無国籍」船舶と、あらゆる管轄権を普遍主義に基づいて認める海賊行為の取締との異同は、重要と見るものである。 本年度のもう一つの研究は、その意味での、「管轄権競合」問題とその調整であった。船舶は、通常、旗国を持つため、旗国以外の国が「干渉」しようとすると、必ず、「管轄権競合」が問題となる。この点、国連海洋法条約をはじめとして、このような「管轄権競合」については、極めて精密な管轄権配分を行っていることが理解された。 なお、シーシェパードの捕鯨船攻撃問題で、日本政府が各国にシーシェパード船舶の登録抹消、登録を認めないように働きかけた事態も生じ、本研究の先見性が、はからずしも証明されることとなった。この点の資料も継続的に収集中である。
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Research Products
(3 results)