2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530048
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
原田 純孝 Chuo University, 法務研究科, 教授 (50013016)
|
Keywords | 平成の農地改革 / 農地法改正(2009年6月) / 農地貸借の自由化(農地の特例貸借) / 法人企業等の農業参入 / 農業委員会の役割と機能 / 地域における農地管理 / 地域農業との調和 / 農地制度の日仏比較 |
Research Abstract |
1. 4月~5月には国会審議中の農地法等改正法案について衆院農林水産委員会で参考人意見を陳述し(研究発表(1))、問題指摘の論稿を発表した(同(2)~(5))。その意見は法案の国会修正に反映されている。すなわち、政府法案は、旧農地法の考え方から離脱して、生産資源たる農地を「効率的に利用する者」に集積することを目的とし、農地の貸借を原則的に自由化する一方、所有権の取得には当面、従来通りの規制(農地耕作者主義)を維持するとしたが、後者の規制の存在根拠は法文中には示されず、やがては所有権取得も自由化する方向が示唆されていた。しかし当所有権取得まで無限定に自由化した場合に農業と農村社会が受ける影響には、様々な危惧と不安が残る。そこで国会修正では、農地が地域資源でもあることを付加した上、農地についての権利(所有権及び賃借権)の原則的な取得者を「効率的に利用する耕作者」と改め、貸借の自由化=解除条件付きの例外的貸借で参入する法人企業等の借地農業主体には「地域農業との調和」、にかかる種々の要件(許可・不許可、許可取消しの要件)を加重したのである。 2. 改正法成立後は、農業委員会の役割が格段に拡大し、業務の性質にも重要な変化が生じることを押さえた上で、運用上の法律的問題点と農地管理の新たな仕組みの検討作業を続けた。そのため、調査・講演・研究会の機会を利用して現場の担当者の意見を聞き(北海道、山形県、福島県当長野県、千葉県の農業会議等)、10月下旬に公表された政省令、運用通知、処理基準の内容を分析した。研究発表(6)(9)は、その過渡的な成果の発表である。 3. 2010年3月にパリに赴き、フランスとEUの政策・立法動向の最新の情報資料を入手した。その成果の一部は、構造政策と農地制度の日仏比較を行った(7)論文に反映させている。サルコジ政権が1月に議会提出した「農業近代化法」案の帰趨、並びに、日本の民主党政権の農業・農地政策の動向の分析評価は、次年度の課題である。
|
Research Products
(9 results)