2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530048
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
原田 純孝 中央大学, 法務研究科, 教授 (50013016)
|
Keywords | 平成の農地改革 / 農地法改正(2009年6月) / 農地貸借の自由化(農地の特例貸借) / 法人企業等の農業参入 / 農業委員会の役割と機能 / 地域における農地管理 / 地域資源としての農地 / 農地制度の日仏比較 |
Research Abstract |
1. 新農地制度の施行状況に関する情報入手に努め、貸借の自由化を中心とする新しい仕組みが農村の現場と参入企業等からどう受けとめられ、いかに機能しているかを考察した。(1)施行後の参入数は加速化した(7カ月で144法人)が、従前からのものも含めた参入法人の総数は436法人で、利用農地の総面積は1,886ha、平均借入面積も3.5haでしかない。(2)研究発表(1)で論じた「地域的農地管理の新しい仕組み」についても、千葉県などでは積極的な運用への取り組みが進んでいるが、全国的な動向はまだ不明である。(3)加えて戸別所得補償制度の導入もあったため、新農地制度の効果や影響の如何は、いまだ見通しがたい状況にある。 2. 一方、2010年秋以降には、菅首相のTPP参加意欲の表明を契機に、農地制度の更なる改正論が急浮上した。企業参入の促進、農業生産法人制度の要件緩和、法の運用主体である農業委員会の見直し等が主要論点だが、一部の政策文書等では、ゾーニング・転用規制制度の強化と合わせた「農地所有権取得の自由化」論も再登場した。上記1の諸点とも併せて、今般の制度改正は、なお「道半ば」なのである。そこで年度後半には、その今後のゆくえを問い、そこに生じうる様々な課題や問題点を検討する作業に着手した。研究発表(3)(4)がその当面の成果である。 3. 今後のゆくえを問う際には、[O!a]「地域農業と地域資源たる農地」という視点を持って、[O!b]小子高齢・人口減少社会の国土空間管理システムの中に農地制度をいかに位置づけていくかを考える必要がある。研究発表(6)の図書は、[O!a]の視点からの研究であるが、今後は[O!b]の課題についても、研究発表(2)の成果や年度末のフランス調査で得た知見(2010年7月の「農業近代化法」による新たな転用規制措置の導入)なども踏まえつつ、さらに研究を進めていく(2011年度に向けて新たな研究計画調書を提出済み)。
|
Research Products
(6 results)