2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530049
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中窪 裕也 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (90134436)
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Keywords | アメリカ労働法 / 安全衛生 / 労災補償 / 労災保険 |
Research Abstract |
本研究は、労働者の安全・健康の確保および労働災害に対する補償の法システムについて、アメリカ合衆国と日本を比較しながら検討するものである。平成22年度は、第1に、前年度までと同様、アメリカの制度に関して図書や論文、インターネット資料等を通じて情報収集を行った。特に、一部の州における独占的な州営労災保険基金について、制度成立時の状況と近年のいくつかの州(ネバダ、ウェストバージニア)における民営化の動きをフォローし、また、2000年代における安全衛生規制の状況、ニューヨーク州における職場のいじめに関する立法の動き等についても検討した。第2に、アメリカの現地調査として、ミネソタ州およびワシントン州の労災保険担当部局を訪問し、両州の制度の仕組みや運用状況などについて情報を得た。特にワシントン州は、現在でも州営労災保険基金による民間保険の排除を行っている点で特徴的であり、そのことがもたらすメリットとデメリットや、安全衛生へのフィードバック等について、担当者と意見交換を行った。その後、同州では2010年11月に民間保険会社の算入を許容する提案が州民投票にかけられ、結果的には否決されたが、民営化の圧力が実感されることとなった。これらのアメリカ研究の成果については、期間中に発表することができなかったが、現在、原稿を作成しているところである。第3に、日本の制度について、労災認定および民事損害賠償に関する判例の動きをフォローするとともに、審議会の部会委員として障害等級に関する労災保険法施行規則の改訂に関与した。それらは判例の動きの解説および共著の教科書の改訂にあたって活用したが、アメリカの研究のまとめにおいても対比の基礎となるものである。
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Research Products
(2 results)