2008 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産権関連の独占禁止法違反事案に対する排除措置等のあり方
Project/Area Number |
20530053
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 恭蔵 Tokai University, 実務法学研究科, 教授 (00317827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 教之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (60098431)
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Keywords | 独占禁止法 / 排除措置 / 知的財産権 / 強制実施許諾 / 情報の開示 / 効果・影響 / 特許濫用 / 標準化組織 |
Research Abstract |
(1)本研究は、最近わが国においても増加している知的財産権が関連する独占禁止法違反事件(競争者の排除、ライセンス拒絶等)について、違反行為を排除し競争を回復させるための有効な排除措置がどのようなものかを理論的、実証的に明らかにすることを目的とし、実施するに当たっては、事例の多い欧米における審判決、各種文献の収集・分析、行政当局者、研究者との討議を通してその実態把握、実証分析のための企業活動・産業のデータ収集を行った上で、本分野での実情と問題点・課題を明らかにし、有効・適切な排除措置モデルの策定を行なう実施計画である。 (2)第1年度(平成20年度)においては、本分野における米国、EUの審判決の収集・分析と文献調査を行い、また、OECD競争政策局、EC委員会競争総局、英国公正取引庁の担当者及び大学研究者(ベルギー、フランス)との討議を通して、各種排除措置とその問題点と課題、米・EU巻での考え方・見解の相違点を明らかにし、さらにあるべき排除措置のモデル案策定に当たっての考慮事項を摘出した。 すなわち、明らかとなった各排除措置の論点と課題としては、ライセンスにおけるFRAND条件の画定、強制実施許諾における「合理的」ロイヤリティの設定方法、米国のmonitor制とECのmonitoring trustee制等、また、米国・EC間での見解等の相違点として強制実施許諾の評価、要件及び有効性、産業全体への積極的なインパクトの有無と評価等についてである。 また、海外の研究者や当局者との討議を通して、欧米ではこうした排除措置の事後的評価(「政策インパクト・アセスメント」)を大規模に実施し、競争政策、知財政策等への含意を議論していることが確認できた。
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