2010 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産権関連の独占禁止法違反事案に対する排除措置等のあり方
Project/Area Number |
20530053
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 恭蔵 東海大学, 実務法学研究科, 教授 (00317827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 教之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (60098431)
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Keywords | 独占禁止法 / 排除措置 / 知的財産権 / 強制実施許諾 / 情報の開示 / 効果・影響 / 特許濫用 / 標準化組織 |
Research Abstract |
1 本研究(平成20,2l,22年度)は、最近増加している知的財産権(知財権)に係る独占禁止法違反事件(競争者排除、ライセンス拒絶等)について、違反行為を排除し競争を回復させるための有効な措置を理論的、実証的に明らかにすることを目的とするものである。第1、第2年度においては、本分野における米国、EUの審判決の収集・分析と文献調査、米国・EU・OECD等の政府機関、国際機関の担当者、大学研究者、法曹界との討議を通して、各種措置の課題、米・EU間での考え方の相違点とあるべき措置のモデル案策定に当たっての考慮事項を摘出し、(1)欧米では措置の事後的評価(「政策インパクト・アセスメント」)を大規模に実施していること、(2)最近の知財独禁事件(MS、Rambus)について、当該行為の潜在的市場への影響と、そこでの競争回復措置の必要性を明らかにし、(3)措置の前提となる競争政策の方向(執行に関する合理の原則)を考察するために、知財権の絡む協調行動である標準化の効果を実証した。 2 最終年度においては、上記研究結果に基づき、わが国企業を対象とする、知財独禁事件における措置の影響・効果に関する企業アンケート調査を実施し(平成22年9月)、本問題の実態把握に努めた。これによると、わが国企業自身とその取引先が知財独禁事件に関連した事例は少なく、当該措置(ロイヤルテイの引下げ、情報開示、ライセンス契約の問題条項の削除等)の研究開発・技術革新への影響・効果は見られず、競争者、取引先(ライセンス契約)が知財権を有していたとしても影響は小さいとするものであった。このことは、知財独禁事件における措置の設計に当たって、(1)ライセンシーと独禁違反行為者との競争関係の有無、(2)当該ライセンス契約が取引先にとって本業に係るものかによってその効果・影響は異なること、(3)強制実施許諾等の直接的介入措置は慎重に行うべきことを示唆するものである。
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Research Products
(6 results)