2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療過誤に対する刑事法的対応の在り方に関する総合的研究
Project/Area Number |
20530054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐伯 仁志 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10134438)
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Keywords | 医療過誤 / 医事刑法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年、大きな問題となっている医療過誤の防止策について、医療過誤に対する法的対応の在り方に関する比較法的研究を基礎として、わが国の医療過誤に対する刑法的対応の在り方を検討するとともに、現在厚生労働省において議論がなされている医療事故の原因を究明し再発防止につなげるための新しい制度枠組みについての検討を行うことを通じて、医療過誤に対する刑法的対応の在り方について、解釈論的研究・比較法的研究・政策的研究を併せた総合的研究を行うことにある。具体的には、(1)過失犯論の解釈論的研究、(2)医療過誤に対する法的対応の比較法的研究、(3)医療過誤の防止のための制度論的・政策論的研究の3つを柱としており、平成20年度においては、刑事医療過誤事件に関する近時の判例の検討を中心として、第1の解釈論的研究を行った。また、第1の解釈論的研究として、チーム医療による医療過誤の場面で解釈論上の大きな問題となっている過失の共同正犯に関する学説・判例の検討も行った。第2の比較法的研究については、各国の対応について、アメリカを中心として外国の医療過誤に関する文献を収集し、法制度の研究を行った。また、第3の制度論的・政策論的研究については、厚生労働省における研究会での議論をフォローするなど、情報の収集に努めるとともに、医療関係者や法律関係者との意見交換を行った。全体として、平成20年度は、3年間の研究期間の初年度として、全体の研究計画の準備作業の段階として位置付けられており,次年度以降に向けた研究ができたものと考えている。
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