2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530066
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上山 泰 筑波大学, 大学院・ビジネス科学研究科, 教授 (50336103)
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Keywords | 成年後見制度 / 身上監護権 / 身上配慮義務 |
Research Abstract |
平成22年度は3カ年にわたる本研究計画の最終年度であったため、研究成果の公表に重点を置いて、研究活動を実施した。まず、学術論文としで、「成年後見制度のグランドデザイン-イギリス・ドイツとの比較を踏まえて-」(実践成年後見34号)、「成年後見制度における「本人意思の尊重」」(大原社会問題研究所雑誌622号)、「成年後見制度の理念的再検討-イギリス・ドイツとの比較を踏まえて-」(筑波ロー・ジャーナル8号)、「制限行為能力制度の廃止・縮減に向けて」(成年後見法研究8号)の4本を公刊した。さらに学会報告として、日本成年後見法学会第7回学術大会で「問題提起-障害者権利条約12条と制限行為能力制度の抵触問題を含めて-」及び「ドイツ世話法における行為能力制限の例外化について」の2本の報告を行い、さらに、The World Congress on Adult Guardianship Law 2010でも「Issues of restricting"legal capacity"in the current statutory guardianship system」と題する報告を行った。後者は、世界17の国及び地域から参加者を得た大規模な国際学会であり、本研究成果の国際発信として重要な意義があったと考える。 昨年度までの研究で、わが国の成年後見人等の身上監護権限について、民法典の想定と、成年後見制度に関連する行政法領域の対応とに明確な食い違いがあり、わが国の法体系全体における整合性に問題があることを、既に明らかにした(いわゆる「成年後見制度の転用問題」)。そこで、本年度ではこの問題意識を基に、わが国の成年後見制度のグランドデザインを再構築するという観点から、ここ数年の世界各国における活発な法改正の動きを分析し、そこに「小さな成年後見」と呼ぶべき新たな基本原理があるのではないかという仮説を立て、ドイツ、イギリスを中心とした比較法研究を進めた。また、成年後見の新興地域といえるハンガリー、チェコ、台湾等の海外調査を行い、これらの国々でも「小さな成年後見」思想と親和的な法改正の動きがあることを確認した。
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Research Products
(6 results)