2008 Fiscal Year Annual Research Report
離婚後共同親権・面会交流の執行と福祉的支援に関する日独比較法研究
Project/Area Number |
20530076
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 博人 Chuo University, 法学部, 教授 (90235995)
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Keywords | 面会交流権 / 親権 / 離婚 / 別居 / 付添いつき面会交流 |
Research Abstract |
本年度は、当初予定していた国外調査の予定が相手方の都合により次年度に延期となったため、文献の収集ならびに文献研究に主たる力を注いだ。ドイツ民法の面会交流に関する制度の概要を把握するとともに、葛藤の強い別居・離婚した夫婦(父母)の場合に、いかに子と非監護親との面会交流を確保するのかという視点から、付添いつき面会交流についての研究を進めた。 付添いつき交流には、父母の葛藤状況等によって3つの類型のものが存在する。(1)「監視された交流」:交流権をもつ父母の一方による子の直接的な危険が存在するもしくはその危険が排除されえない状況があるとき。(2)「狭義の付添いつき交流」:父母の強い葛藤により、子の間接的な危険が排除されえない状況があるとき。(3)「支援された交流」:子にとっての直接的な危険がない、もしくは子にとっての危険が少ないのが明白であるが、機能不全に陥っている家庭の場合。以上のような区分での付添いつき面会交流の実施にあたっての具体的基準の作成がドイツでは進んでいる。他方、日本では付添いつき交流は民間団体により細々と行われているにすぎず、その実態も明確ではない。日本での実態の把握も必要であるということが明らかになったが、この点は次年度の課題のひとつである。
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