2008 Fiscal Year Annual Research Report
損害賠償請求権の時間的制約をめぐる法解釈論・法政策論・立法論の日独比較研究
Project/Area Number |
20530079
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松本 克美 Ritsumeikan University, 法務研究科, 教授 (40309084)
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Keywords | 消滅時効 / 除斥期間 / 損害賠償請求権 / ドイツ法 / 戦後補償 / 性虐待 / 民法改正 |
Research Abstract |
ドイツにおける時効法改革の背景、特徴、課題について、ベルリンのフンボルト大学及びハンブルクのマックス・プランク研究所を中心に資料収集、文献調査等を通じて検討を行った。また、2008年8月に、子どもの性的被害についての損害賠償請求権の消滅時効についての著作を発表しているDr. Elke Beduhn弁護士にヒアリング調査を行い、彼女の研究の問題意識、背景、意義と課題について質疑を行った。さらに、2009年2月には、ドイツの時効法研究の第一人者であり、ドイツ内外の時効法改革立法にも携わってきたProf. Dr. Reinhard Zi mmermann教授にヒアリング調査を行い、ドイツの時効法改革の背景、問題点などにつき質疑を行い、参照すべき各種文献等についても貴重な示唆を得た。2008年10月の私法学会での時効法改革シンポジウム、および2009年3月の民法改正フォーラムのシンポジウムで、時効法改革について質疑を行った。私法学会での質疑については、学会誌「私法」に掲載される予定である。2009年2月には、性被害についての損害賠償訴訟で注目すべき時効論を展開している仙台地裁平成11(1999)年7月29日判決の原告側代理人であった佐川房子弁護士に、事件の背景、原告の訴訟に込めた思い、裁判所の時効判断についての評価、判決後の被害の回復などにつきヒアリング調査を行い、貴重な知見を得た。 戦後補償と時効・除斥期間の問題についての日独比較、ドイツ時効法改革も参考にしての日本における時効法改革の課題と具体的提案(時効起算点、停止事由等)については、後掲の論文を公表した。
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