2009 Fiscal Year Annual Research Report
損害賠償請求権の時間的制約をめぐる法解釈論・法政策論・立法論の日独比較研究
Project/Area Number |
20530079
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松本 克美 Ritsumeikan University, 法務研究科, 教授 (40309084)
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Keywords | 消滅時効 / 除斥期間 / 損害賠償請求権 / ドイツ法 / 戦後補償 / 性的虐待 / 民法改正 |
Research Abstract |
日本の消滅時効・除斥期間に関する重要判決である最高裁平成21・1・22判決(過払金返還請求権の消滅時効)、最高裁平成21・4・28判決(足立区女性教員殺害事件)につき検討し、判例批評を法律雑誌に公表した(後掲業績参照)。また、戦後補償訴訟とのかかわりでの消滅時効・除斥期間の問題につき、研究会(立命館大学ジェンダー法研究会、女性・戦争・人権学会共催)で報告した(2009年6月)。また性的被害・児童虐待についての損害賠償請求権の消滅時効問題につき、法と心理学会で報告した(2009年10月)。児童の性的虐待問題については、札幌地裁平成15・3・31判決が小学生時代のピアノ教師による女子児童に対する性的虐待について、30代になった被害女性とその両親が損害賠償を請求した事件で高額の賠償金(約4000万円)が認められたが(判例集未登載)、この事件での消滅時効をめぐる争点、当事者の主張、裁判官の判断について、原告側の訴訟代理人であった秀嶋ゆかり弁護士にヒアリング調査を行った。ドイツの時効法改革との関連では、8月にベルリン市のフンボルト大学を訪問し、同図書館および市内なる国立図書館で文献・資料を収集するとともに、ドイツ法の現状につき、ブレーメン大学研究員の若林翼氏、フランクフルト大学のマックス・プランク比較法制史研究所のLena Foliantv氏にヒアリング調査を行った。またベルリンから東に列車で1時間ほどのFrankfurt am Oder市で、東ドイツ時代の政治犯収容所跡記念館などを訪問し、過去の不法の展示について資料を収集した。
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