2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530082
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
木村 仁 関西学院大学, 法学部, 教授 (40298980)
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Keywords | 信託法 / 英米法 / 不当利得 / 権限外処分 |
Research Abstract |
平成22年度においては、受託者の権限外の処分であることにつき悪意によりまたは一定の認識のもと、信託財産を受領した者の責任の内容と性質、特に不当利得責任との関係について、主としてイギリスの学説、オーストラリアの判例、カナダの判例、ジャージー島の判例にもとづいて検討を行った。イギリスの学説と、カナダ、ジャージー島の判例の中には、信託財産の受領者は、knowing receipt責任と同時に、不当利得返還責任を負うとの考え方も示されている。 これに対して、近年のオーストラリア最高裁は、受託者の権限外処分によって信託財産を受領した者に不当利得法にもとづいて返還責任を認めることは、先例における主観的認識要件を否定することになるので、knowing receipt責任と不当利得返還責任とは競合しないと判示した。 また、学説においては、knowing receiptの責任は、財産を受領したことにもとづいて認められる特別な財産管理者としての責任であり、不当利得返還責任または不法行為責任とは異なる根拠と性質を有していることを理由に、不当利得返還責任との競合は否定され、受領者が信託財産をさらに第三者に処分した場合における損失てん補の範囲は、受領時の価格ではなく、現在価格が基準となるとの有力な見解が示されている。 イギリスとオーストラリアにおいては、信託違反による信託財産の処分が行われ、これを悪意で受領した者の責任を、不当利得返還責任と同一視せず、受託者責任に準ずる責任を認める方向に揺れ戻っていることが看取された。
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Research Products
(1 results)