2009 Fiscal Year Annual Research Report
終末期医療における治療拒否・中止のあり方についての比較法的研究
Project/Area Number |
20530094
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
大河原 良夫 Fukuoka Institute of Technology, 社会環境学部, 教授 (70341469)
|
Keywords | 治療拒否 / 治療中止 / 緩和治療 / 自己決定 |
Research Abstract |
平成21年度は、治療拒否・中止の手続を検討し、意識を表明できる場合とできない場合に分けてこれの考察を進めてきた。まず前者の場合で、通常の(非末期)患者については、本人の意思であらゆる治療を拒否できるはずであった。だが、この2002年患者権利法はコンセィユ・デタ判例の抵抗にあっている。それだけでなく、栄養補給など生命維持治療まで中止できるのかという問題は残ろう。延命のための濃厚治療は拒否できるにしても、緩和治療は続けなければならず、それへの切替や治療拒否の四要件が問題になる点が重要である。 他方、末期患者の場合は、治療拒否の要件は、非末期患者の場合に比べ医師の結果説明だけがあるにすぎないが、果たしてそれで十分かが問題となる。治療制限・中止による消極的安楽死(尊厳死・自然死)及び延命治療の拒否、そして苦痛緩和(死を早める二重効果をもつ)治療が法認されたが(間接的安楽死の問題)、これは、立法者による積極的安楽死の否定にもかかわらず、それへの実質的序章とならないかという問題検討も必要であった。そして来年度は、意識がない患者の場合(これには末期とそうでない場合があるが)、自己決定すべき時に自己決定できない患者の治療制限・中止をどうするか。ここでも形式上は自己決定を補完・代替し、患者の事前表明意思をたどる事前指示書、指名されたPersonne de confiance、家族の代行判断、医師の判断(優越的利益)等々を検討し、それらの間の調整をどうするか、更に、医療チームによる治療中止の共同決定手続を検討する予定である。
|
Research Products
(2 results)