2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530097
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
大黒 太郎 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (20332546)
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Keywords | 極右政党 / 福祉制度改革 / オーストリア政治 / 比較政治学 |
Research Abstract |
本年度は、2つの目的を設定して研究を進めた。 第一に、すでに実施した、オーストリア・イタリアにおける「極右」政党の政権内部における位置や政策の実現度の分析手法を、オランダの右派連合政権の分析へと拡大した。その結果、オーストリアやイタリアと同様に、オランダでも、(1)極右政党の政権参加によって、右派国民政党の政党政治上の脆弱性が克服されたことにより、安定的な政権運営が可能になったこと、(2)「強い国家と市場」といろ奇妙な組み合わせという形で、政策的方向性が定まったこと、(3)(2)の点が極右政党が果たした政策的影響力の確信にあったこと、(4)にもかかわらず、政権参加と政策的な影響力の獲得によって、極右政党の政党政治上の基盤がかえって失われる結果となったこと、の4点が、その独自の性格をもちながらも、各国に共通する特徴として浮かび上がることを確認することができた。 第二に「安定的な政権運営」が可能になった重要な要件としての、政党内部の「凝集性」という条件について、「極右」とともに同党と連立を組む右派国民政党内部の政治プロセスを、(今年度についてはオーストリアを中心に)一次資料を中心に明らかにする予定であったが、2次資料中心におこなわざるを得なかった。2次資料では、「極右」政党と連合を組むことで生まれるプラス/マイナス効果について、福祉制度改革の進展という時系列にそって追うことができたが、より綿密な現場資料に基づく研究が必要となっている。次年度の課題としたい。
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