2008 Fiscal Year Annual Research Report
政党政治および政治行動に対する政治的イデオロギーの影響の国際比較研究
Project/Area Number |
20530098
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹中 佳彦 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (80236489)
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Keywords | 保革イデオロギー / 政党政治 / 政治意識 / 政治行動 / 支持政党 / 投票政党 / 社会団体 / 首相イメージ |
Research Abstract |
本研究は、(1)ヨーロッパ諸国や日本と、日本を除くアジア諸国との間に、政党制と政治的イデオロギーの関係に大きな違いがあるのか、また(2)社会的亀裂の「凍結」の有無の違いによって、政治的イデオロギーの政治意識や政治行動に対する影響に違いがあるのかについて、政治構造や政治文化、政治意識、政治行動に注意を払いながら、政党政治と政治的イデオロギーとの関係を明らかにすることを目的とする。 本年度は、ヨーロッパ先進諸国、日本と韓国、米国について、イデオロギーと支持政党や投票政党との相関関係を分析した。まだヨーロッパおよびアジアの全体の分析が完了していないため、論文としては未完成だが、いずれの国も相関関係は存在し、しかしヨーロッパ先進諸国は、日本・韓国・米国よりも相関が高いことが明らかとなった。 また政党は、社会から表出された利益を集約する機能を果たすので、社会団体のイデオロギーも分析した。その結果、(1)団体分類や団体の関心政策分野や他組織への信頼・影響力評価・協調-対立認識などはイデオロギーと関係があること、(2)情報源や接触できる対象、行政へ間接的に働きかけを行うときのルート、利益を実現するために行使する手段などはイデオロギーの方向性や強度と関係があること、(3)団体の政治行動もイデオロギーの方向性(あるいは強度)と関係があることなどを明らかにした原稿をまとめた(未公刊)。 さらにイデオロギーと首相イメージとの関係についても分析し、投票行動に影響力を与える要因は、70年代はイデオロギーと政党支持で、首相イメージは小さかったが、80年代になると、イデオロギーの影響力が落ち、首相イメージ(や業績評価)の影響力が相対的に上昇、2000年代には、イデオロギーに代わって、首相イメージの影響力が高くなってきていることを明らかにした。この論文は、日本政治学会で報告した。
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