2010 Fiscal Year Annual Research Report
政党政治および政治行動に対する政治的イデオロギーの影響の国際比較研究
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20530098
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹中 佳彦 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (80236489)
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Keywords | 保革イデオロギー / 政党政治 / 政治行動 / 政治意識 / 政党支持 / 権威主義 / 亀裂 / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究は、(1)ヨーロッパ諸国や日本と、日本を除くアジア諸国との間に、政党制と政治的イデオロギーの関係に大きな違いがあるのか、また(2)亀裂の「凍結」の有無の違いによって、政治的イデオロギーの政治意識や政治行動に対する影響に違いがあるのかについて明らかにすることを目的とする。 本年度の研究から、イデオロギーの認識度や平均、ちらばりが、政治的権利や市民的自由の保障、換言すれば民主化や自由化と相関していることが明らかになった。つまり民主化や自由化の進んだところとそうでないところとでは、イデオロギーの現れ方が具なっている。しかもイデオロギーは、欧米やオセアニアでは、亀裂というよりも、政府の役割や競争に対する評価を中核として形成されている。このように民主化や自由化とともに市場経済化が進んでいるところほど、イデオロギーが対立軸として機能している。 また権威主義や伝統的価値、排他的態度などが、イデオロギーを形成しているのは先進国であって、民主化途上の国々ではそのような傾向が小さい。途上国では、イデオロギーのちらばりが大きいので、イデオロギー対立がないわけではない。したがって途上国では、権威主義に対する追従または反発のいずれかが偏りをもって存在しており、イデオロギーとは別の次元を形成しているのではないかと思われる。 これまでの期間内の研究結果と総合すると、イデオロギーは、亀裂の「凍結」の有無というよりも、欧米やオセアニアのような政治文化に根づいた価値対立だと考えられる。
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