2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 由希子 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 助教 (10436602)
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Keywords | 政府税制調査会 / 税制政策 |
Research Abstract |
本研究は日本が他の先進国と比較した場合、際立って多額の財政赤字を蓄積している要因の一つとして、政府力が増税に積極的ではなかったという認識に立ち、政治学の先行研究において予算の分配ほどには注目されることのなかった負担の分配一税制政策の決定過程を調査することを目的としている。具体的には、これまで自民党税制調査会に独占されてきたとされる税制政策過程において、公的には税制政策の大枠を決定してきた政府税制調査会の果たした役割の解明を目指している。平成20年度は研究期間の第1年度にあたるため、政府税制調査会の成り立ちや歴史、組織、運営方法、構成委員などについて基本的な情報を一次資料の収集により把握し、先行研究を整理、過去における同調査会についての学術的理解の把握に努めた。その際、(1)政府税制調査会は時勢に応じて求められた税制政策の変革に対し、どのような立場から妥協点を見っけようとしたか、(2)委員の構成の変化は政府税制調査会の打ち出す税制の大枠にどのような影響を与えたか、(3)政府税制調査会は財務省とどのような関係であったのか、といった問いを念頭におきつつ、調査を進めた。本年度に概観した主要な資料としては財務省財務総合政策研究所財政史室編『昭和財政史』各巻、年度ごとに刊行される税制調査会答申、石弘光著『現代税制改革史』(2008年、東洋経済新報社)、水野勝著『税制改正五十年-回顧と展望-』(2006年、大蔵財務協会)、新日本税制研究会編『税制改革への歩み:福田幸弘対談集(正・続)』(1987年、1988年、税務経理協会)などが挙げられる。しかし、いずれも政府税制調査会の活動内容に焦点をあてた文献ではなく、当時の新聞記事による断片的な情報で補足しているが、同調査会内部における政策決定過程を解明するには不十分であるため、今後は当時の税制調査会参加者への聞き取り調査などを行う必要がある。
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