2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 進 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40009840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 宏樹 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (60396695)
森 聡 法政大学, 法学部, 准教授 (60466729)
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Keywords | 比較政治 / ドイツ政治 / ヨーロッパ政治 |
Research Abstract |
本年度は、統一後ドイツ政治の変容、とりわけヨーロッパ化という視点から各人で先行研究を共有することを第1の目的とした、当研究のいわば地ならしともいうべき年度であったが、早くも幾つかの成果が出版物として刊行されている。 まず高橋進による『国際政治史の理論』はこれまでの米欧関係・米独関係を見る際に不可欠な広い視野と歴史的分析を提供しており、高橋進・安井宏樹共編著である『政権交代と民主主義』は現代ヨーロッパ政治における政権交代の意義を比較の視点から問うものである。それは同時に近年のヨーロッパ化にも起因する、議会制民主主義への不信の傾向に対し、現代の政党政治が持ちうる意味を探る試みとも言える。また学会報告、論文の成果においては安井宏樹氏によって現代のドイツ政治の変容について既にかなり包括的で緻密な分析が提供されている。一方では、ドイツの政党政治において頻繁に見られ、現代日本においても重要な問題となっている分割政府の問題を、他方では福祉国家の再編の時代における政党と労働組合の対応を緻密に分析している。これらの論点は今年のドイツ議会選挙を理解するためにも、重要な視点であると言える。また、森聡は現代米独関係・米欧関係の変化に着目し、ドイツを含むヨーロッパ諸国を取り巻いている構造的な変化が、国連安保理決議なきアメリカの域外介入への対応にいかなる影響を及ぼしているのかを検証するための準備を進めた。具体的には、ポスト冷戦期の事例として2003年のイラク戦争をめぐる米欧関係を取り上げ、これらの事例に関する資料の収集にあたっているところであり、これによって冷戦後ドイツの内政・外政の変容をヨーロッパ大の視点から、包括的に捉えることが可能となるであろう。
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