2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530105
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森邊 成一 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 教授 (50210183)
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Keywords | 行政官僚制 / 第一次大戦 / 社会変動 / 官吏 / 行政需要 |
Research Abstract |
平成21年度は、前年度に実施した明治20年代から第一次大戦期までの作業に引き続き、第一次大戦後から昭和10年頃までの基礎的データの収集・加工を行なった。具体的には、『日本帝国統計年鑑』をもとに、職員総数の量的把握を進めるとともに、『内務省史』などの各省の公刊史をもとにその内部組織・局課構成の変遷を跡づけ、また、年度内に作業は終了しなかったが、局課別の職員数の確定に着手した。 今年度得られた、知見としては、(1)第一次大戦期には、戦時ブームの結果、鉄道・逓信(郵政)に代表される現業部門の量的な拡大が顕著である。これに対して、非現業部門の拡大ペースは現業部門に対して極めて遅い。しかし、(2)戦後には、現業部門の拡大が停滞するに対して、非現業部門は拡大し続ける。この点では、(3)戦後期に、商工省の新設と並んで、各省での局課の新設が行なわれており、大戦期の社会変動に対応して、新たな行政課題・行政需要が登場し、それに対応するための、新たな局課組織が設置されたことがうかがえる。また、(4)この時期の特徴として、各省が試験場や研究機関を多数設置したことである。官庁主導の技術開発が、本格的に登場したと言えるかもしれない。また、(5)政党政治期には、憲政会・民政党系の緊縮財政政策もあり、量的拡大は停滞する。そして、(6)満州事変後の総動員体制準備の過程で、現業・非現業を問わず、官僚制は急速な量的拡大に転じる。 以上のような知見にもかかわらず、軍部や一部省庁での量的把握が、データの不足などから、完結していない。特に、雇用・傭人などの非正規的職員(非官吏)の量的な確定に技術的困難を感じている。また、研究機関などのユニットを局、課のどちらに近いものとしてカウントするかなど、解決すべき問題があり、論文等を公刊するに至らなかった。
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