2008 Fiscal Year Annual Research Report
農村政策におけるソーシャル・キャピタル測定と応用研究
Project/Area Number |
20530108
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上野 眞也 Kumamoto University, 政策創造研究教育センター, 教授 (70333523)
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Keywords | Social Capital / 農村政策 |
Research Abstract |
平成20年度は、計画に沿って、まずこれまで開発してきた農村のソーシャル・キャピタルを測定するための調査ツールを用いて、2農村地域の全住民へ量的な社会調査を実施した。 第二に、地域リーダーに対する聞き取り調査を実施し、質的なコミュニティの価値観や行動規範の分布状況を調べた。それらの調査結果については、住民への説明会を開催して、分析した結果が的確にコミュニティの実態を表しているかについて検証を行った。この調査から、調査地はコミュニティの活動に積極的な地域と思われていたが、実は世代間で大きな価値観の違いがあり、現在の農村地域力の多くは高齢世代によって担われている構造が明瞭に明らかになった。 第三に、地域リーダーに対するネットワーク調査を実施することで、リーダーのネットワーク構造を可視化し、コミュニティのパフォーマンスとリーダーの関わりについて調査・分析した。その結果、当該集落はソーシャル・キャピタルのレベルは都市化などで著しく低い水準を示しているにもかかわらず、各種地域づくり活動については積極的に取り組み、事業成果を上げていることとのギャップについて考察するデータを入手した。 今後、さらにケース調査を積み重ねることで、測定のみならず、ソーシャル・キャピタルを醸成するための手法、つまり政策的介入の手段を開発することや、コミュニティとしての一定のパフォーマンスを維持するための方略について、考える手がかりが得られると考える。21年度は、さらに質的分析を生かすための調査手法の開発を進める予定である。
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