2010 Fiscal Year Annual Research Report
農村政策におけるソーシャル・キャピタル測定と応用研究
Project/Area Number |
20530108
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上野 眞也 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 教授 (70333523)
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Keywords | Social Capital / 農村政策 |
Research Abstract |
平成22年度は、これまでの量的・質的分析から得られた知見をもとに作成してきたソーシャルキャピタル測定のための標準的な手法について、測定手法の有用性を検証するため以前調査した集落に対して評価調査を実施した。その過程で、追加的に個人の効果とコミュニティの効果を分離して確認する手法としてマルチレベル分析を応用したところ、ソーシャルキャピタルの構造的な把握に有用な手法になることが分かった。マルチレベル分析に使用する変数データも、ソーシャルキャピタル分析に使うデータを活用することができるため、従来の測定手法に付加したプログラムとして用いることができる。 これまでの研究の成果として、アンケート調査法によるソーシャルキャピタルの測定、それに基づく構成要素の強さ弱さの把握、さらには個人及びコミュニティにかかる要素がどのようにソーシャルキャピタルを形成しているのかについて構造化、そしてベイジアンネットワーク分析による実践知を活かした政策的介入ポイントの把握が可能となった。また、社会ネットワーク分析では、コミュニティ内での情報流通や住民間の連帯感の共有がどのように繋がっているかを可視化することができ有用な知見が得られる。 さらに客観的量的分析とともに、住民へのインタビューやフォーカスグループインタビューなどの質的分析を考慮し検証することで、本研究で開発してきたソーシャルキャピタル測定手法が農村集落政策などでの実用に耐えうる精度レベルになっているものと考える。 今後この技術を自治体等へ普及できるものへと一連の分析プロセスを簡便化することにより、農村集落間の比較や特性の抽出のみならず定点観測により経年的な比較研究も、自治体等で独自にできるようになることが期待される。さらにそれらのデータの蓄積を行うことで、ソーシャルキャピタルを政策に応用する技術の精度向上に結びつけていくことが期待される。
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