2009 Fiscal Year Annual Research Report
市場化と規制化の日英政策比較:指定管理者制度とEAZ・CA
Project/Area Number |
20530124
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小堀 眞裕 Ritsumeikan University, 法学部, 教授 (70253937)
|
Keywords | 市場 / 規制 / 教育 / ブレア |
Research Abstract |
ブレア政権の戦略は、「排除」された人々の引き上げ(包摂)のために、準市場(Quasi-Market)を積極的に使うという方法であった。このようなブレア政権の方法は、政治思想の分野で、「ソーシャル・リベラル」と評価され、ジョン・ロールズらのリベラリズムの影響、イギリスの自由党思想の影響を受けたものとして論じられることも多い。 しかし、ブレア政権の10年を経て、実際のところ、貧困層の水準向上が統計的には測定されたとしても、有権者には実感されていない。その結果、2008年から2009年にかけて、労働党は「排除」やASBO(反社会的行動)を改善できていないと猛烈な批判を浴び、過去の「分配」政治と、「準市場」との間で、労働党は揺れ動いている。 ブレアの上記のような準市場政策を、貧困地域の教育水準向上に生かそうとした「切り札」的政策が、2003年から開校された「アカデミー」であった。今年度は、このアカデミーが達成したパフォーマンスがどの程度で、準市場政策の下で水準が改善されているかどうかを検討した。アカデミーにかかわっては、プライスウォーターハウスクーパスや特別委員会、会計監査院や、大学の教育学研究者などが様々な評価を近年行っている。また、2009年から2010年にかけて、イギリス・シェフィールド大学で客員研究員として研究する機会を得ることができた。その機会をいかし、Ofqualでの聞き取り調査や閣僚や教育NPOなどの研究会に参加して、積極的に情報を収集した。また、ブレア政権のブレーンを勤めたジュリアン・ルグランの研究会にも参加した。そうした諸研究を検討して、下記「イギリス中等教育政策における社会的排除との闘い」を成果としてまとめた。
|