2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530130
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
宮城 大蔵 National Graduate Institute for Policy Studies, 政策研究科, 助教授 (50350294)
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Keywords | 国際政治 / 外交 / アジア / 1970年代 / 日本:イギリス:オーストラリア:アメリカ |
Research Abstract |
イギリスの「スエズ以東」からの撤退(1971年)、米中接近(1971-72年)、サイゴン陥落(1975年)と前後するアメリカのアジアからの撤退傾向という1970年代東アジア国際環境の大きな変動に対して、日本はいかなる反応をし、どのように対応しようとしたのかという本研究の課題を解き明かすため、当該年度においては、8月にイギリス国立公文書館、2月にオーストラリア国立公文書館における資料調査を行った。 前者においては、イギリスのアジアからの撤退をめぐる資料のほか、米中接近を受けた田中角栄首相による日中国交回復(1972年)をめぐる米英の思惑を記した興味深い文書を発掘し、その一部を「戦後日本と国際環境」『創文』(No.516、2009年1-2月)として発表した。また後者においても、英連邦の有力メンバーとしてイギリスのアジア撤退後の日本の動向を注視していたオーストラリア政府の動きを解明する資料を収集した。現在、これら一次資料の整理・分析を進めているところである。これに日本、アメリカの資料を併せて分析することで、1970年代というアジア国際政治の一大変動期における日本の位置づけを、「一国史観」や「二国間外交史」を超えて、真の意味での「国際政治史」の一部として把握することが可能になると考えている。 またこれらの資料を用いることで、日本国際政治学会の創設50周年企画である『日本の国際政治学』における拙稿「戦後アジア国際政治史」の記述をより立体的なものとすることができた。
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